【第9回】高麗町クリニック 下本地優院長

下本地先生 メーン2

豊かな選択肢で様々なニーズに応える

高麗町クリニックの強み、といいますと、バックに大きな組織・公益財団法人慈愛会のグループがついている、その安心感だと思います。在宅医療を進める上でこれ以上はないと言えるほど贅沢な選択肢が法人内にあります。

今村病院、今村病院分院の2つの急性期病院、今村病院には地域包括ケア病棟と緩和ケア病棟、分院には精神科病棟や回復期リハビリテーション病棟があり、さまざまなニーズに応えることができます。また、谷山病院の認知症疾患医療センター、介護の領域でも老健施設、居宅介護支援センター、訪問看護ステーションを運営しています。もちろん、いろいろな事態が起こるので、すべてを完全にカバーできるわけではないのですが、法人内の連携で患者さんに提供できる支援の幅がぐんと広がります。

例えば、がんの患者さんの在宅療養を、化学療法のチーム、緩和ケア病棟のチーム、そして私たち高麗町クリニックの在宅チームが連携して支えていきます。また、入院先の病院から1日でも2日でも家に帰りたいという希望を、いつでも受け入れられる用意があります。こんなに豊かな選択肢をグループ内に持つ在宅療養支援診療所はそう多くはありません。ただ、慈愛会の中で互いの良さをまだ伝えきれていない、法人内の連携をもっと密にする必要があるのでは、とも感じます。共通理解を深めれば、更に上質の医療的支援が可能になると思います。

 


地元におけるwin winの関係

今年度、鹿児島市医師会荒田支部(30施設:2016年12月現在)の支部長を務めています。市街地で病床数の多い病院もあり、会員数は100を超えます。昨年、地元の再開発計画が明らかになって、支部内に大きな医療機関ができることが分かりました。街に活気が出るものと歓迎しています。先ほど、豊かな選択肢の話をしましたが、救急の病院が一つ増えればさらに選択肢が充実して、近隣の皆さんにとっても心強いのではないでしょうか。支部内の既存の医療機関同士、良好な関係づくりを続けていますし、新しくできる医療機関ともwinwinの関係を作っていけるものと思っています。 

 


意気込みを共有できるチーム体制

下本地先生 文中

平成21年11月のクリニック開設から7年が経ちました。訪問診療や訪問リハビリテーションの延べ患者数推移を見ますと、今年度は飛躍的に数値が伸びた時期があり、クリニック内でいいムードが出来てきたおかげだと考えています。開設当初は無我夢中で在宅の仕事を進めてきましたが、看護部、事務方、リハ部門、みんなが「小さい組織だけどしっかりと黒字を出していこう」という意気込みを共有できるようになりました。試行錯誤のスタートから、いま、財務的に明るい見通しを持てるようになったのは、ようやくチームが整った証だと思います。「たくさんの患者さんを診たい」という私の気持ちをサポートしてくれるチーム体制。これも高麗町クリニックの強みだと思います。

職場のムードはほんとうに大切ですね。例えば、深夜の急患対応があったとします。夜が明けて、記録を見たスタッフが、そのケースで診療報酬をどれだけ算定できるのかをしっかりと把握して、具体的に点数を挙げながら「先生、大変でしたね。お疲れさまでした」とねぎらいの言葉をかけてくれます。そういう一言で、モチベーションが非常に上がります。気の持ちようが全然違います。患者さん獲得のパワーを全力で展開して、頑張りが漏れなくレセプトで算定され、黒字化につながる、という今の流れを維持したいと思います。

気持ちを揃えることは、本当に難しい。人数の少なさ故の難しさもあります。チームを意識して、それぞれの役割を果たして頑張ろう、と思ってもらえるメンバーに恵まれて、感謝しています。

 


法人内連携・協力のありがたさ

もうひとつのチームとして、法人内の訪問看護ステーションの存在も大きいです。強い連携関係が構築できて、短期間で在宅看取りの件数が増えました。クリニック開設は、在宅医療という新しい分野への挑戦でした。最近ようやく、法人内での理解が少しずつ深まり、協力体制ができ始め、代診も依頼できるようになったので、有り難く思っています。

在宅医療は、診察や投薬、点滴といった医療行為だけでおしまいではありません。生活の場に介入しますから、患者さんの日常破綻をどうするか、という問題に直面する場合があります。行政、警察、地域の方々、全体の協力が必要で、在宅医療支援診療所が全体を統合する役目も果たします。医療人として、そういう仕事を面白いと思える、在宅に関心を持つ医師仲間を増やしていきたいです。

 


新病院への想い

新病院のスタンスについては、トータルにいろいろな医療提供ができる病院、そのサポートが評価される病院になろうとしている、と私は理解しています。例えば、一般救急の受け入れ体制を整えながら、さらに認知症や精神疾患の方の身体緊急症を受け入れる精神科病棟もある、また入院患者さんに対しては退院後のADL( Activities of Daily Living:日常生活動作)を見据えて納得のいくプランへの橋渡しを提供できる、そういう幅広い支援・連携ができる病院であってほしいと思います。つまり、病院の高い評価のためには、さらに充実した医療連携室の存在が不可欠だと考えます。

現在、今村病院分院と高麗町クリニックは、既に共通の電子カルテシステムでつながっています。これにより、私が診た患者さんを今村病院分院に救急搬送することになった場合、分院では患者さんの基本情報を到着前に把握できます。このメリットは大きいです。新病院となってからも、引き続き、情報共有のメリットをさらに拡大し、結果、より安心感の大きい在宅医療を提供できるよう連携を密にしていきたいと考えています。

 

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