リレーインタビュー【保存版】

【第10回】 七波クリニック 鮫島久子院長

2022.11.11

人と人との関わりを大切に

―糖尿病内科専門の七波(ななみ)クリニック。名称の由来を教えて下さい。

血糖曲線の波(tages=血糖値の日内変動を表す折れ線グラフ)は高低差が小さいほど良いとされ、目標値は7%未満です。また、当初開院した場所が埋立地で、元は錦江湾ですので、波にゆかりがあります。和柄の「晴海波」を意識しつつ、tagesにちなむ「波」と「七」、にぎやかな波、といったイメージで「七波クリニック」としました。


―院長自身の命名ですか。

はい、私が考えました。当院は平成18年、今村病院分院の糖尿病内科外来が分離した形で開設されましたが、今村病院分院糖尿病内科の患者会も「ななみ会」という名前でした。いろいろな意味を込めたクリニック名です。
(ななみ会は現在も慈愛会糖尿病センターの患者会として継続中)


―クリニックは今春、移転・新装しました。今村病院分院横のビルから、約350m離れた現在地に移ってもうすぐ8カ月。現況はいかがでしょうか。

移転に際しては、患者さんに大変ご不便をお掛けしました。これまでコンスタントに伸びていた患者さん数の推移が気掛かりでしたが、おかげさまで維持できています。従来通り、基本的に定期通院の方を診療し、新規の患者さんの場合、症状の重い方は今村病院内の慈愛会糖尿病センターを紹介し、深刻な状態でなければ当院で診る体制です。糖尿病治療は長くかかるもの。当院開設前から今村病院分院にかかり、20年以上通院されている患者さんもいらっしゃいます。人と人との関わりが非常に大切です。コミュニケーション、信頼関係を大事にしたいと思います。


―来年1月で開設10周年。これまでを振り返るとともに、今後の課題などをお聞かせください。

クリニック開設が決まり、院長就任を打診されたのが、とても急なことでした。経営方針や理念など、かしこまって考える余裕がないままスタートしたのが実情です。いまだに模索を続けています。ただ、組織運営に関しては、勤勉なスタッフに恵まれたおかげで苦労はなく、今日に至ります。スタッフには感謝の一言です。これからも気配りを忘れずにいたいと思います。

開設から10年経つとマンネリが課題。患者教育や療養指導をもっと勉強し、技術を高めることが必要です。幸い、さまざまな職種のスタッフが日頃から、自分達で学び、お互いにレベルアップを図っています。クリニック全体で、その姿勢を大切にしたいと思います。


―糖尿病内科医になった動機は何でしょうか。

腎臓障害や視覚障害など、合併症の多さが糖尿病の特徴。診察は頭から足まで、全身を網羅します。元々、飽きっぽい性格ですので、診る部分が多いのが自分に合うと思って、この仕事を選びました。もちろん、その分たくさん勉強しないといけません。数々の症状、合併症を的確に診断し、治療できる力を磨き続けたいと思っています。


―プライベートの楽しみがありましたらご紹介を。

子供の頃、地学が好きでした。天体、宇宙といった領域に今も心惹かれます。日頃はなかなか、夜空を見上げて星を観察する、とまではいきませんが、8月に種子島宇宙センターで打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機は、鹿児島市内の自宅から肉眼で光跡をとらえることができました。感激しました。いつか宇宙センターの間近で、ロケット打ち上げの感動を味わってみたいです。

ぜひ見たいものがもう一つ。オーロラです。残念なことに、ロケット打ち上げもオーロラも天候に左右されるので、観測スポットに行けば必ず見られるとは限りません。時間にたっぷり余裕を持てる日がくるまで、夢はお預けです。