地域の精神科医療を担う当院では、精神科医療の専門性を高めるために能力開発を進めていくことが望まれています。
そこで、看護実践能力を向上させ精神科医療の専門性を高めることをねらいとして、個人の成長レベルに応じ能力開発ができるように支援体制を整えています。
具体的には、全看護職員を対象に「看護職のキャリアパス制度」を基に、新卒1年目から生涯教育としての研修システムを備えています。
新人から個人の成長にあわせて5段階のクリニカル・ラダーによって機会教育(OJT)と集合教育(OFF-JT)を通して段階的に学んでいきます。実習指導者の研修や医療安全管理者、看護管理者(副看護師長・看護師長)を目指していく研修を受講する事も可能です。また、より専門性の高い看護を目指し、認定看護師・専門看護師の道を選択し学んでいくことができます。さらにジェネラリストとして多くの医療分野の看護を経験し、EBMに基づいた正確で丁寧な看護実践能力を備えた看護師になるために、病院内外の研修で研鑽を積むことができます。
いずれにしても、専門職業人としの自己啓発・自己研鑽が必要であり、それを支援するものが「能力開発体系」です。これらの研修の機会を自ら選択し、常に目標をもち、主体的に学習をして、目指す看護に向かってステップアップできるように、支援しております。
谷山病院看護部は、人間性を尊重した倫理観をもち、看護に対する使命と役割を自覚し、幅広い臨床能力(態度・知識・技術)を身につけ看護サービスの質が保証できる看護師を育成します。
谷山病院看護部は、専門職の自覚をもち、患者の個別性を尊重した計画的な看護が主体的に実践できるよう人材を育成する。
看護部のラダー別研修の他、看護部の集合研修、全職員対象の職員研修などがあります。研修に参加すると、研修毎にポイントが加算され、年度末のラダー評価や人事考課評価の参考にしています。
当院は認定看護師資格取得など長期にわたる研修の場合、出張として認め、勤務扱いでの研修参加、法人内の奨学金制度を利用するなど色々な面で個人のキャリアアップを支援してまいりました。
2022年現在、5名の認定看護師を養成し、それぞれの専門性を発揮し活躍しています。
院内で活躍する5名の声を聞いてみましょう。
■看護師の退院調整の役割
生活の場である「家」に帰りたいという患者様の思いを受け止めて、退院後を見据えた「継続看護」をするのは、看護の大きなやりがいにもつながります。入院期間が短縮し、不安を抱えながら退院する方が増える中、その不安を一つずつ解決していく退院調整の役割が今後、看護師に大きく求められてきます。
看護師が中心となり、在宅でも安心した生活が送れるように患者や家族を支援していくための取り組みを行っています。入院に関すること、退院に関すること、その他不安なことがありましたら何でもご相談ください。
地域の保健・医療・福祉サービスとも連携しながら患者様とご家族をサポートしていきます。
■広報活動
認定看護師は重要な「リソース」です。私たちを幅広く活用してもらえるよう広報活動を行っています。
研修内容は、厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」を基に作成されています。「新人看護師研修ガイドライン」の「看護職員としての必要な基本姿勢と態度についての到達目標」「技術的側面:看護技術についての到達目標」「管理的側面についての到達目標」の他に精神科の専門的な項目としては日本精神科看護技術協会の「新人教育チェックリスト」を基に構成しています。
研修にあたっては、公益財団法人慈愛会の法人内での集合研修をはじめ、病院内集合研修、病棟OJTといった場面で研修を計画しています。谷山病院の新人教育パスに示す企画された研修に積極的に参加し、目標を自ら達成できるようにして支援していきます。
卒後4年以上で後輩育成に関心が高く、実践モデルを示せる実地指導者を各病棟に配置しています。実地指導者は新人とペアを組み、継続的に指導を行います。
また看護職員全員が日々の看護実践の場面を通して、後輩を指導する屋根瓦方式の教育を基本とし、プリセプターや実地指導者だけに負担をかけないように支援しています。