沿革

病院沿革

奄美病院は2024(令和6)年9月18日に開設65周年を迎えました。
誕生から今日までの歩みをスライドショーでご紹介します。
どうぞご覧ください。



 

奄美病院は昭和34年に、この南西諸島の住民のニーズに応じ設立された由緒ある病院であり、現在及び未来に渡って奄美の精神科医療、保健、福祉の領域で住民の健康を支えることが期待されている精神科病院である。


その沿革を紐解くと、開院時38床であったのが、創立後次々と増改築された。しかし、明らかなように、長い年月と共に複雑な分棟式の各病棟等は老朽化が激しく、この医療施設そのものが島民の意識から奄美病院を遠ざけるような結果になってはいけない。
可及的速やかに、病院の新築に向け『奄美病院新築等委員会(仮称)』を慈愛会本部並びに当院に設置し、21世紀の精神科医療を見据えた新病院を設立することが焦眉の急であった。
平成15年7月新病院が完成した。

精神障害者の医療と福祉については、精神保健福祉法改正のように、国(厚生省)の政策が矢継ぎ早やに提出されている(法改正の先行)。このような精神科医療の展開(と充実)の方向に沿って、大島を代表する奄美病院もなお一層の努力を進めなくてはならない。施設の充実と同時に、精神科医療保健福祉への取り組みも更に質をも高めていかなくてはならない。


さて、財団法人慈愛会は、【財団法人慈愛会への理解と親しみをさらに深めるため】に、その医療理念として、「医療の原点は慈愛にあり」、「慈愛の心でトータルヘルスケアを目指す」ことを掲げている。同時に、この理念を実践するために、

  1. 医業を通して地域社会に貢献する。
  2. 良心的な高度医療を提供する。
  3. 心に届く慈愛の看護を実践する。
  4. 快適な医療環境を提供する。
  5. 働きがいのある職場環境を目指す。

の5項目を経営方針として掲げ、「これらの医療理念と経営方針を心に刻み、慈愛会スタッフが一丸となって行動して初めて、これらのめまぐるしく変化する医療界を航海することが可能となる」と謳っていることは周知の事実である。

この理念はこの離島とて例外ではない。いやむしろ離島だからこそ、数少ない精神科医療の施設等の充実は島民のためになくてはならない。いやしくも住民のためのしっかりした精神科医療を論ずるのであれば、行きたくない、入りたくない、でも仕方ないという奄美病院の側面を払拭しなければならない。
ここで、この慈愛会の医療理念と五つの経営方針に沿えば、大島に於ける奄美病院の運営方針はおのずと決定されてこよう。


まず、地域社会への貢献について言えば、

  1. 大島全体の精神科医療保健と福祉を視野に入れ、他の様々な医療や行政機関と共にスムーズに回転(課題処理)させること。この場合、大島の精神風土、文化に十分配慮すべきことは言うまでもない。かつ、慎重な行動が要求される。
  2. 合併症問題では従来通り他科と緊密に連係していくこと。
  3. 精神科の様々な疾患に対応できること。青壮年期、老年期を対象とするだけでなく、広く門戸を解放し、住民の方々の様々な精神的な悩み等に応じられること(阪神大震災後のPTSD等、島全体のパニック状態に対応せざるを得ない場合がある)、より特殊で専門医療機関(精神科)への一時的橋波しの投割も果たせること。
  4. その他
ともあれ、この大島では、それらの精神科的課題に対し、当院が中心的役割を担うことは間違いない。私達に与えられた仕事は重大である。

 


次に、良心的高度医療と快適な医療環境を提供し、かつ、働きがいのある職場環境を目指すためには、当院の現医療施設の量と質では如何ともしがたい。早急に施設を作り直し、慈愛会に謳われている高度な環境内容、心を癒される、豊かで余裕のある病院作り、例えば、地域や他の医療機関等との接点である外来部門の整備、急性期治療病棟、老人性痴呆疾患療養病棟、精神科療養病棟等の設置、各部署の充実と動線を考慮した建物配置と集中化、十分な広さを持つ多目的ホール、デイケア等、リハ科の充実及びグループホーム等の施設、並びに職員のための講施設の充実等々が当然考慮される。


心に届く慈愛の看護の実残に関しては、今後とも更なる研鑽を積み続け、これまで貴重な諸体験を教訓として生かし、一人一人医療人として誇りを持つことにより、当該施設の大改革と共に、奄美病院の患者、地域とのコミュニケーションのあり方には飛躍的な成長が望み得るのである。

あかぎ(赤木)の誓い

平成10年8月4日に発生した、奄美病院中庭での不法、不当な行動制限とその後の経過措置については周知の事実であり、私達に深い反省の念を呼び起こすものである。
私達は精神科病院職員としてここに気持ちを新たにし、後世に渡ってそれを教訓として生かすため、あかぎの誓いとして、次の通り心に刻むものである。

  1. 常に患者の立場に立って考え、行動する。
  2. 患者と共に困難に立ち向かう。
  3. 慈愛の精神を大切にする。
  4. (財)慈愛会、奄美病院の基本理念に従う。
  5. 精神保健及び福祉に関する法律を遵守する。
  6. 精神科領域のエキスパートとして視野を広げる。
  7. 医療や福祉の立場から地域に貢献する。

以上
平成14年7月1日 奄美病院職員一同

以上の通り、奄美病院が今後とも慈愛会の一員としてその重責を全うするためには、慈愛会に謳う医療理念と経営方針をこれまで通り第一とすることは言うまでもない。 ここに私たち奄美病院の各職員は以上のことを確認し、心に再度刻むものである。

奄美病院病床のあゆみ

昭和34年
大島精神病院として38床で開設(9月18日)
大島精神病院から奄美病院へ名称変更(10月15日)
90床へ増床(12月14日)
昭和37年
102床から増床(4月17日)
152床へ増床(11月29日)
昭和38年
184床へ増床(10月29日)
昭和41年
224床へ増床(12月23日)
昭和42年
233床へ増床(11月1日)
昭和43年
284床へ増床(5月20日)
昭和45年
330床へ増床(4月30日)
昭和61年
350床へ増床(7月22日)
平成15年
新病院完成(350床)(7月5日)
平成22年
356床へ増床(4月1日)
平成23年
公益法人化(慈愛会)
令和元年
348床へ減床(5月1日)
令和6年
326床へ減床(4月1日)
令和7年
315床へ減床(9月18日)