奄美病院は昭和34年に、この南西諸島の住民のニーズに応じ設立された由緒ある病院であり、現在及び未来に渡って奄美の精神科医療、保健、福祉の領域で住民の健康を支えることが期待されている精神科病院である。
精神障害者の医療と福祉については、精神保健福祉法改正のように、国(厚生省)の政策が矢継ぎ早やに提出されている(法改正の先行)。このような精神科医療の展開(と充実)の方向に沿って、大島を代表する奄美病院もなお一層の努力を進めなくてはならない。施設の充実と同時に、精神科医療保健福祉への取り組みも更に質をも高めていかなくてはならない。
さて、財団法人慈愛会は、【財団法人慈愛会への理解と親しみをさらに深めるため】に、その医療理念として、「医療の原点は慈愛にあり」、「慈愛の心でトータルヘルスケアを目指す」ことを掲げている。同時に、この理念を実践するために、
の5項目を経営方針として掲げ、「これらの医療理念と経営方針を心に刻み、慈愛会スタッフが一丸となって行動して初めて、これらのめまぐるしく変化する医療界を航海することが可能となる」と謳っていることは周知の事実である。
この理念はこの離島とて例外ではない。いやむしろ離島だからこそ、数少ない精神科医療の施設等の充実は島民のためになくてはならない。いやしくも住民のためのしっかりした精神科医療を論ずるのであれば、行きたくない、入りたくない、でも仕方ないという奄美病院の側面を払拭しなければならない。
ここで、この慈愛会の医療理念と五つの経営方針に沿えば、大島に於ける奄美病院の運営方針はおのずと決定されてこよう。
まず、地域社会への貢献について言えば、
次に、良心的高度医療と快適な医療環境を提供し、かつ、働きがいのある職場環境を目指すためには、当院の現医療施設の量と質では如何ともしがたい。早急に施設を作り直し、慈愛会に謳われている高度な環境内容、心を癒される、豊かで余裕のある病院作り、例えば、地域や他の医療機関等との接点である外来部門の整備、急性期治療病棟、老人性痴呆疾患療養病棟、精神科療養病棟等の設置、各部署の充実と動線を考慮した建物配置と集中化、十分な広さを持つ多目的ホール、デイケア等、リハ科の充実及びグループホーム等の施設、並びに職員のための講施設の充実等々が当然考慮される。
心に届く慈愛の看護の実残に関しては、今後とも更なる研鑽を積み続け、これまで貴重な諸体験を教訓として生かし、一人一人医療人として誇りを持つことにより、当該施設の大改革と共に、奄美病院の患者、地域とのコミュニケーションのあり方には飛躍的な成長が望み得るのである。
平成10年8月4日に発生した、奄美病院中庭での不法、不当な行動制限とその後の経過措置については周知の事実であり、私達に深い反省の念を呼び起こすものである。
私達は精神科病院職員としてここに気持ちを新たにし、後世に渡ってそれを教訓として生かすため、あかぎの誓いとして、次の通り心に刻むものである。
以上
平成14年7月1日 奄美病院職員一同
以上の通り、奄美病院が今後とも慈愛会の一員としてその重責を全うするためには、慈愛会に謳う医療理念と経営方針をこれまで通り第一とすることは言うまでもない。 ここに私たち奄美病院の各職員は以上のことを確認し、心に再度刻むものである。