奄美地区地域自立支援協議会の「第2回ピア交流会in奄美病院」が8月7日、奄美病院あらいぐま食堂で開かれました。精神疾患を抱える方々に地域で長く生活するための力をつけてもらおうと開催され、当院の入院患者様や通院患者様のほか、支援者、病院職員など約40人が参加しました。
今回のテーマは「わたしのトリセツ」について。「トリセツ」とは取扱説明書のことで、自分の特性や困りごとを周囲に知ってもらい、具体的な対策を考えるためのツールです。
自身の気持ちのバロメーターを①青(安定しているとき)②黄色(少し注意が必要)③赤(とても注意が必要)と信号のように3段階に分け、それぞれ「私のすること」「周囲にしてほしいこと」「周囲にしてほしくないこと」を書き出して可視化します。
この日は「黄色信号」について掘り下げました。まず当事者2名が自身のリカバリーストーリー(回復過程の語り)や「わたしのトリセツ」を発表しました。
眠れないときは
綾部大地さんは、自分の黄色信号を「悩みが多くて眠れないとき」と表現しました。解決方法としてチャットGPTを挙げ「いろいろな知識を提供してくれる。使っているうちに安心して眠れるようになる」と紹介しました。
さらに「チャットGPTは今なら無料。ぜひよろしく」と冗談を交え、会場を和ませる場面もありました。
まずは様子を見てほしい
元俊智さんは「黄色信号になるのは心がそわそわし出すとき。周りの声が気になり反応する自分に気付く。夜も寝つきが悪くなる」と分析。
作業所の職員や利用者に話を聞いてもらいながら気持ちを整理したり、頓服薬を服薬したりするなどの対策を説明した上で「自分で解決策を分かっているので周りの人は様子を見てほしい。そっとしてもらい、何かあったときに話を聞いてほしい」と語りました。
グループワークの後、全員で大きな円になって自分の黄色信号やしてほしいこと、してほしくないことなどを語り合いました。
出た意見は「眠りや食事のペースを妨害してほしくない」「話を聞いてもらいたい」など、してほしい対応は人それぞれ。解決方法として「ストレッチや軽い運動でリラックスする」「周りの人に私は調子が悪いと伝えて協力を仰ぐ」などの工夫が紹介されたほか、支援者から「たくさん話を聞いて、たくさん冗談を言う。少しでも発散してもらえたら」との声も上がりました。
さらに出席者からヘルプマークの紹介もありました。
内部障害など見た目だけでは分からなくても援助や配慮を必要としている人たちのための目印で、「困ったときは助けてくださいと知らせることができ、災害時も使える。このマークを周りに広めて、もし付けている人がいたら気に掛けてほしい」と呼び掛けました。
ヘルプマーク(左)は市役所や保健所でもらえるそうです。(※鹿児島県ホームページリンク)
終了後アンケートでは
「お互いの意見を共有する時間ができた」
「自分と同じような黄色信号の方もいて一緒だと安心した」
「参加者からマイナスの言動を言ってほしくない、話を聞いてほしいとの意見があった。スタッフとして少しでも話を聞いてあげられる環境をつくる必要があると思った」
などの声が寄せられました。
この日もにぎやかな笑い声が響き、和気あいあいとした雰囲気で進行しました。あっという間の1時間でした。
【前回のピア交流会はコチラ】
※記事内の当事者3名のお名前、写真はご本人の了解を得て掲載しています。
令和5年5月に新型コロナウイルス感染症が5類へ移行されたことに伴い面会制限を一部緩和しておりましたが、
これから大型連休に入り人の移動も増えることや市内の感染者数が増加傾向にあるため感染防止を目的に下記の
期間は面会者の人数を制限させていただきます。
当院の感染対策について、ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。
●制限期間 :令和6年4月27日(土)~5月6日(月)
●面会者人数:1名
●面会時間 :15分(9:00~11:00/14:00~16:00)
奄美地区地域自立支援協議会のピア交流会が12月11日、奄美病院研修センターで行われました。精神疾患を抱える当事者3名が自身のリカバリーストーリー(回復過程の語り)を紹介し、病気との向き合い方から仕事のこと、現在の状況まで率直な思いを語りました。会場には入院中の患者様や外来通院中の当事者の方、支援者、病院職員ら39名が来場。真剣な表情で耳を傾けながら、それぞれが自分にできることを考えました。
協議会は奄美大島5市町村や医療機関、福祉関連事業所などで構成されており、専門部会「ピア部会」には当院の精神保健福祉士も参加しています。同部会が主催するピア交流会はこれまで部会メンバー限定で開催されてきましたが、入院中の患者様に地域での生活をイメージする参考にしていただこうと、初めて外部の方々へ参加を呼び掛けました。
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