平成28年12月より尿路結石治療センターが開設しました。
当院では平成21年1月より体外衝撃波結石破砕装置を導入し、腎臓や尿管の結石に対して体外衝撃波結石破砕術を行ってきました。
治療効果は認めていますが、結石によっては体外衝撃波での治療が難しいケースや、複数回の治療が必要になるケースや、追加で内視鏡治療が必要になるケースがありました。
このような問題を改善する為、平成26年5月より尿路結石破砕用のレーザーを導入し、尿路結石に対してレーザーを用いた内視鏡治療が可能になりました。
これにより体外衝撃波での治療が困難な結石や、仕事で多忙な患者様で早期の結石除去を希望する方への対応も可能となりました。
A.保存的治療(自然に石が出てくることを期待した治療)
B.外科的治療
腎臓や尿管の結石は一般的に側腹部から腰背部を中心とした強い痛みを引き起こします。
小さい結石は自然に尿に出てくる確率が高いため、保存的治療(自然に石が出てくる事を期待した治療)を行いますが、石がなかなか出ない場合、痛みを頻繁に繰り返す場合は外科的治療を行います。
外科的治療として体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が代表的ですが、大きな結石や多数ある結石、結石の位置や患者様の状態などにより、体外衝撃波での治療が難しい場合があります。
そのような場合、経尿道的尿路結石除去術(TUL)という内視鏡手術が勧められます。この治療は結石を細かく砕いて取り除くことができるため、体外衝撃波の治療に比べ、より確実性が高く、短期間で結石除去が可能です。
また、経尿道的尿路結石除去術では結石除去困難な大きい結石に対しては経皮的腎結石砕石術(PNL)も行っております。
体外衝撃波や内視鏡の治療では結石除去が困難な場合、まれに腹腔鏡手術や開腹手術を行います。
また結石による尿路閉塞により感染や腎不全を併発した場合には早急に尿管ステント留置術や経皮的腎瘻造設術を行い、その後結石の治療を行います。
通常2~4mm以下の尿管結石は75%以上の確率で、5~7mm以下は60%以上の確率で自然に尿に出てくると言われるため痛み止め等の薬と水分摂取にて自然に石が出てくることを期待した治療を行います。
体外で発生させた衝撃波を、体を通して結石に集中させ、そのエネルギーで結石を砕き尿と一緒に排石させる治療法です。
治療は基本的に外来治療で行います。ただし、結石の場所や大きさ、硬さによっては内視鏡治療を選択したほうが効果が高い場合もあります。
内視鏡を使用した治療法です。
尿道から細い内視鏡を入れて尿管または腎臓の結石をレーザーで破砕します。
破砕された結石は手術中に体外に取り出すことができます。治療効果の高い手術として近年増加しています。
全身麻酔などの麻酔をして手術を行い、入院期間は3~4日を予定しております。
内視鏡を使用した治療法です。
背中に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を挿入し、腎臓の結石を破砕し取り出す治療です。
比較的大きな結石に対して行われることが多い手術です。大きな石を比較的短時間で体外に取り出すことが出来る反面、腎臓に穴を開けるので出血のリスクがあります。
全身麻酔などの麻酔をして手術を行い、入院期間は1週間程度を予定しております。
体外衝撃波や内視鏡の治療による結石除去が困難な場合、まれに腹腔鏡手術や開腹手術を行います。
全身麻酔をして手術を行い、入院期間は7~14日を予定しております。
結石による尿路閉塞に感染を併発した場合は、細菌が全身にまわり、敗血症により命に関わることがあります。
また両側の尿管や、もともと腎臓の働きが良くない場合に尿路閉塞を伴うと腎不全を併発する場合があります。
そのような場合は早急に尿管ステント留置術や経皮的腎瘻造設術を行い、引き続き結石の治療を行います。
項目 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
体外衝撃波結石治療(ESWL) | 177 | 162 | |
経尿道的尿路結石除去術(TUL) | 261 | 300 | |
経皮的腎結石砕石術(PNL) | 31 | 32 |
一美 貴弘
いちみ たかひろ
副院長
主任部長
尿路結石治療センター長
専門
日本泌尿器科学会 認定泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 認定泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定機構認定がん治療認定医
医学博士
メッセージ
尿路結石症など泌尿器疾患に対し、的確な診断・治療を進めて参ります