病理診断科

診療科紹介

病理診断科では主に病理組織診断・術中迅速診断・細胞診等、病名や進行度合など病気の治療に関わる確定診断を行っています。また、病理解剖も行っています。当院は外科手術検体とともに、血液疾患や炎症性皮膚疾患、炎症性腸疾患の検体の割合が多いという特徴があります。このため蛍光抗体法も含めた数多くの免疫染色やin situ hybridizationも併用して診断を行っています。

検査実績

項目 2022年度 2023年度
組織診断 3,674 3,499
術中迅速診断 138 110
細胞診断 2,633 2,694
免疫組織化学染色 1,182 1,098

担当医から患者様へ

当科では、患者様より採取された組織や細胞で、できるだけ沢山の情報が得られる様に丁寧な標本作成を心がけております。病理医2名と臨床検査技師6名(細胞検査士3名)で特殊な染色を駆使し、適切な治療に結びつく的確な病理診断・細胞診断を出来るだけ早く主治医に提出し、患者様の早期治療につながる様に取り組んでいます。特に当科の特徴としては、リンパ節や皮膚等のATLを含む悪性リンパ腫や骨髄の病気等の血液疾患の検体で、他施設より多数の抗体を組み合わせた複数枚の免疫染色という染色を行って診断を行っており、臨床の先生の治療薬の選択等、早期の適切な治療に繋がっていると思っております。この他、大腸や胃の腫瘍、潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患や炎症性皮膚疾患、前立腺や膀胱・尿の検体が多いのも特徴です。最近では、膵臓や胆管・胆嚢から採取された非常に小さな検体や胸水の検体も多く、特殊な染色を駆使して診断を行っています。また、当科に提出された腫瘍を含む検体を使用し、その患者様の腫瘍により効果が見込まれる薬剤を見分ける目的で遺伝子検査に提出されることも多くなっています。

担当医から医療機関の皆様へ

当科は、2人病理医で病理診断はダブルチェクを原則としており、希少病変等、診断に迷った場合はその疾患の専門家にコンサルテーションを行なっております。生検検体等は、病変を見逃す事の無いよう3段階の深さでHE標本を作成し、EUS-FNAや子宮頸部、子宮内膜等の生検や吸引検体も、小さな組織片にのみ病変が含まれていることもあるため、細心の注意を払い丁寧な標本作成を心がけております。切除検体やESD検体はできるだけ細かく多数の切片を作成して診断するよう心がけており、腫瘍性病変では多くの症例でCD31/D2-40抗体を使用した2重染色でリンパ管侵襲や血管侵襲の有無を確認する等、必要に応じ複数の免疫染色を組み合わせてより正確な診断に繋がる様心がけております。また、切除範囲の決定などに関わる術中迅速診断にも随時対応しております。診断精度に繋がる為、切除後の検体のホルマリン固定についても当科技師により適切な管理を行なっております。各科との合同カンファレンスでは、これまでの経験がその後の治療に役立つ様に協力しております。現在、外部からの受託はお受けしておりませんが、当科での診断をご希望の際は各臨床科に御相談下さい。

業務内容

病理組織診断

生検組織では、胃・大腸カメラ検査などで見つかった病変部から2~3mmほどの小さな組織片を採取したものを診断します。

切除組織診断では、外科などで摘出された臓器や組織を診断します。

これらの組織診断は、臨床検査技師が顕微鏡用標本を作製し、病理医が診断しています。

細胞診

細胞診断は子宮(擦過)、腎・膀胱(尿・膀胱洗浄液)、甲状腺(穿刺吸引)、体腔液(胸水・腹水)などを対象とします。採取された検体から標本を作製し、顕微鏡で観察して診断します。

術中迅速診断

手術中に採取された病変の組織から短時間で標本を作製し、病理医が迅速診断を行います。診断結果は執刀医に連絡され、切除範囲や術式などの手術方針が決定されます。

免疫組織化学染色

2台の自動免疫染色装置で150種類以上の抗体を用いて染色しています。皮膚の蛍光抗体法やin situ hybridizationも行っています。腫瘍組織の鑑別や組織型の決定、がんの脈管への侵襲の有無等を評価しています。悪性リンパ腫や血液疾患症例では、多くの細胞情報を得て、精度の高い組織診断に役立っています。

病理解剖CPC

ご遺族の承諾のもとに亡くなられたご遺体の解剖を行い、その死因や病気の本態、合併症の有無、治療結果など詳細に検索します。

その後、当院の臨床病理症例検討会(CPC)で検討がなされ、最終病理解剖診断を作成します。

解剖診断結果は日本病理学会に集計され今後の医療や医学研究の発展に貢献しています。

研修医の皆さんへ

病理診断科では、病気の本態に関する病変の検索および診断方法など臨床につながる実践的な病理的研修を行うことができます。

学会認定施設など

  • 日本病理学会認定病理制度登録施設
  • 日本病理学会研修登録施設
  • 日本臨床細胞学会認定施設

担当医紹介

田代 幸恵

たしろ ゆきえ

主任部長

専門

日本専門医機構病理専門医
日本病理学会病理専門医/研修指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医/指導医
死体解剖資格認定医
医学博士(鹿児島大学)
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科臨床教授

メッセージ

臨床医との情報交換を密に行い、適切な早期治療に繋がる、精度の高い病理診断を心がけています

二之宮 謙次郎

にのみや けんじろう

部長

専門

日本専門医機構病理専門医
日本病理学会病理専門医/研修指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医
死体解剖資格認定医

メッセージ

過不足のない病理診断を心がけ、地域医療の安定に貢献したいと存じます。

スタッフ

  • 臨床検査技師 6名(細胞検査士・国際細胞検査士 3名)
  • 検査助手   1名