脳卒中でよくみられる運動(機能)障害の一つに痙縮けいしゅくという症状があります。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足を動かしにくかったり、勝手に動いてしまう状態のことです。痙縮では、
などの症状がみられます。痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
ボツリヌス療法(通称:ボトックス)とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のタンパク質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。
そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張を和らげることができます。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
ボツリヌス療法を受けた後に、以下の症状があらわれることがあります。
これらの症状は多くが一時的なものですが、症状があらわれた場合には医師に相談してください。
※ごくまれに次のような症状があらわれることがあります。
これらの症状があらわれた場合は、すぐに医師に相談してください。
まずは診察をし、治療方針を設定します。ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3~4ヶ月間持続します。効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回注射を受けることになります。
ただし、効果の持続期間には個人差があるので、医師と症状を相談しながら、治療計画を立てていきます。
(画像提供:グラクソ・スミスクライン株式会社)
細い針を痙縮のみられる筋肉に注射します。注射部位は患者さんによって異なりますが、一度に数か所、注射する場合もあります。
当院で行う痙縮等の治療は保険が適用され、通常1割~3割負担で治療が受けられます。注射を行う部位や範囲によって費用は異なります。
身体障害者手帳(1級又は2級など)をお持ちの方は医療費の助成対象となる場合がございます。詳しくは当院の会計窓口またはお住まいの市町村自治体へご相談ください。
ボツリヌス療法を希望される方は、事前にお電話での予約が必要です。
医師が患者さんの症状を判断した上で、ボツリヌス療法の治療日を決定します。
※初診当日にはボツリヌス療法を受けることはできませんので、あらかじめご了承ください。
TEL.099-251-2221
「リハ外来のボトックス療法の予約」とお伝えください。