活動報告

2022年度

OT事例検討会 3月

202331日(水) 

リハビリテーション部 作業療法士(OT) 松元 美沙紀

今回は、脳卒中を発症し重度左片麻痺を呈した若い男性患者様についての事例検討会でした。
入院当初は日常生活動作に介助を要していましたが、訓練を行なっていくなかで日常生活動作は自立し家事動作の一部も行えるようになりました。入院しているとなかなか家事動作など想像しにくくなってしまいますが、家事・育児のチェックリストというものを使用し、患者様と話し合いながら1つの作業を細分化し一部分でも行えそうなことはないか探し出していったそうです。
また最終的には改善が見られた麻痺側の手をいかに日常生活で使えるか検討を重ね、左手で扉を閉める・着替えの時に肘を伸ばして袖を通す・パーカーのポケットに左手を入れる、出す・ハンドソープのポンプを押す・左手で薬包を固定し右手で開けるなどといった動作が可能になったそうです。
作業というのはとても幅広い分野です。限られたリハビリ時間のなかで患者様が必要としている作業・行いたい作業ができるようにするにはどのようにすればいいのか日々考えながら臨床に励んでいます。今回の事例検討会に参加し、色々な視点で作業を見れるような作業療法士になれるよう今後も精進していきたいと思いました。

 

OT事例検討会 2月

202326日(木)

リハビリテーション部 作業療法士(OT)池田 竣貴

今回は私と同じく新人作業療法士が担当でした。症例は既往歴に認知症がある後期高齢者の方で脳梗塞を発症し、左片麻痺を呈した方についての事例検討会でした。麻痺だけではなくCOVIT-19の隔離により臥床傾向となり、筋力低下や耐久性が低下も生じていたようです。離床に対し消極的な方でしたが、ご本人が病前行っていた新聞を読む活動を通して、リスク管理を行いながら、徐々に離床時間の延長に繋がったようでした。このようにただリハビリの中で離床するだけではなく、ご本人の病前の趣味などを活かしてリハビリ時間以外の時間を有効に活用することは早期回復にはとても重要なことなのです。
事例検討会は、担当病棟が異なる作業療法士からもアドバイスを貰える場であるため、発表していない私も様々な意見を聞き、勉強になる良い時間を過ごせました。

 

OT事例検討会 12月

2022年12月7日(水)

リハビリテーション部 作業療法士(OT)新福 友果子

事例は脳卒中センター(急性期病棟)に入院されていた脳梗塞により左片麻痺を呈した患者様でした。徐々に左手の動きが改善され、左手が日常生活場面の作業に参加可能なレベルとなりましたが非利き手である左手の日常生活場面への参加はほとんどありませんでした。今回、麻痺手である左手が日常生活活動へ参加するために『ADOC-H』を導入しました。
ADOC-Hとは?
「言葉」「文字」「イラスト」を使って、より具体的に日常生活場面での手を使用するイメージを促すアプリです。障害によって手を使わないことが習慣となった患者様に対して、日常生活で手を使用する場面のイラストを選びながら、患者様と作業療法士が互いに希望と意見をすり合わせて目標を設定共有するものです。
ADOC-Hにより目標を左手で①食器をもつ②ハンドソープを押す③タオルで顔を拭く④コップを持って口をすすぐ⑤上衣の袖を通す⑥ズボンの上げ下げを行う⑦両手で洗顔をすることに決定し、直接的な日常生活活動訓練を行いました。
作業療法の時間以外も左手の使用を意識して頂くように目標を自室に掲示し、左手の使用状況を確認していきまいた。日常生活場面での参加頻度が増えることでさらなる機能改善になり、目標としていた7つの項目を達成することができました。
目標達成が成功体験となり、ご本人が新たな目標として「両手で洗体を行う」「手洗いの際に左手で右手をこすれる」を掲げ、左手の積極的な使用になりました。
今回の事例を通して改善された機能を日常生活場面でどのように使用していくことが大事であること、患者様と目標の共有することが主体的な取り組みへつながることを改めて感じました。


OT事例検討会 11月

2022年11月8日(火)

リハビリテーション部 作業療法士(OT)門田良子


今回の事例検討会は、新入職員が報告担当でした。
当院に入職し先輩作業療法士のリハビリを見学し助言をもらいながら、少しずつ一人で担当する患者様が増えてきた中で、今回は中年の重度片麻痺の患者様について報告をしてくれました。
患者様は理学療法・作業療法・言語療法のリハビリを積極的に受け、自らも自主訓練を実施され、入院から数ヶ月経過して現在身の回りのことは概ね自分で行えるまで回復しました。今後は自宅へ退院され生活をしていく予定となっています。
担当作業療法士は新入職員であるため経験が浅く、患者様の回復段階に合わせたリハビリを行うため試行錯誤しながら、また先輩作業療法士に相談しながら色々な訓練を行っていました。日々の状況に対応することに一生懸命で、今後の患者様の身体状況の予測や、退院後の生活の予測が出来ず、何を目標にどのような訓練を行っていけば良いのか困っていました。そのため今回患者様の状況を紙面にまとめ、報告をしたことで普段他科を担当している経験のある先輩からも多くの助言や指摘を受けることが出来ていました。
報告後、担当作業療法士は「自分の視野が狭かったことに気がついた」と言っており、今回の報告が患者様により良い作業療法を提供出来るよう考える機会になったようです。
当院に入院された患者様が自宅に戻り、その後も充実した生活を送れるように、今後もスタッフ一同研鑽していきます。


OT事例検討会 10月

2022年10月6日(木)

リハビリテーション部 作業療法士(OT)泉 由佳

10月の作業療法部門の事例検討会が開催されました。
今回の事例は右片麻痺を発症し、元々の障害が増悪してしまい、1人で身のまわり動作や家事動作ができることを目標に練習をしている方についてでした。
私たち作業療法士は患者様が自宅へ帰りたいという希望がある場合、「その人らしく生活できる」ように、そのための方法を考えます。自宅で過ごすためには様々なことをクリアする必要があります。
また、例えベテランの作業療法士であったとしても、口頭での情報だけでは誤った情報を元に練習してしまう可能性があるため、できるだけ自宅での様子を画像で見せてもらったり、実際に自宅の様子を見に行って情報収集させてもらっています。
今回、自宅の画像をもとに、様々な角度(自宅での移動方法やトイレ動作の方法など)から、患者様が安全に自宅に帰るための意見交換がなされました。本事例検討を通して、患者様が安全に自宅で生活してほしいという担当作業療法士の熱い思いを感じました。
私も「その人らしく生活する」にはどうすればいいか追求していきたいと改めて思いました。

 

 
 

OT事例検討会 6月

2022年6月1日(水)

リハビリテーション部 作業療法士(OT)大田 陽介

令和4年度6月事例検討会に参加して参りました。

今回は発症後間もない(急性期)の患者様の作業療法における、「離床」がキーワードとなりました。

脳卒中を発症された患者様は意識障害や運動麻痺、高次脳機能障害などの影響により、ベッドから起き上がるのさえ大きな介助を必要とする場合があります。作業療法士だけでなく、病棟のスタッフなど周囲の協力を得ながらの積極的な「離床」が患者様の回復の第一歩となり、また患者様自身の予後を左右する重要な要素となります。

マンパワー不足などを理由についつい後手に回りやすい「離床」ですが、周囲を巻き込んで積極的に行っていくことの大切さを改めて実感しました。チーム医療の一員だけでなく、リハビリの専門職として、中心となって「離床」を進めていけるような作業療法士でありたいと思いました。