慈愛会糖尿病センター 糖尿病内科/眼科

患者様の気持ちや糖尿病に対する考え方をよく聞くことを心がけています。
患者様が自ら治療に取り組んでいけるようサポートします。

診療科紹介

慈愛会糖尿病センターについて  糖尿病センター長 鎌田哲郎

  慈愛会糖尿病センターは2014年に、今村病院分院(現今村総合病院)の糖尿病内科と眼科が今村病院(現いづろ今村病院)に移転してスタートしました。現在糖尿病内科医師8名(常勤医5名、非常勤医師3名:その内日本糖尿病学会専門医6名)、眼科常勤医5名(内日本眼科学会専門医4名)体制で診療を行っています。また慈愛会の中には、糖尿病専門クリニック2施設:慈愛会クリニックと七波クリニックがあり、専門医による外来診療を行っています。

当院の糖尿病内科の特徴は、かかりつけ医の先生との病診連携治療を積極的に行っている点があります。糖尿病は本来プライマリーケアに属するもので、多くの患者さんはかかりつけ医の先生のところで治療を受けておられます。しかし、糖尿病の治療には専門性の高い部分も含まれており、かかりつけ医の先生と専門施設が協力して治療を継続して行く“循環型の病診連携”が、治療効果を上げるために重要です。食事指導や運動指導、心理的問題などは、専門施設の関与を必要とします。私どもの施設は、下記の専門スタッフによるチーム医療を行っています。現在、循環型連携をとって、かかりつけ医で治療を受けながら、6ヶ月毎に当院外来を受診する患者さんは787名(2021年度)で、139施設のかかりつけ先生方と連携治療を行っています。
もう一つの特徴は、1型糖尿病患者さんを多く診ています。1型の方はインスリン強化療法が必須で、専門施設での治療が望ましいですが、当院では現在約200名の1型患者さんが外来通院されており、その内インスリンポンプ治療を行っている患者さんは50名おられます。
一方、認知症でインスリン治療が困難になった場合の治療なども、専門施設が係わるべきものと考えており、週1回のインクレチン注射と組み合わせたインスリン治療を工夫し、患者さんが、在宅で治療を継続出来るようサポートしています。

一方眼科の特徴は、糖尿病性網膜症患者の治療を得意としている点にあります。糖尿病性網膜症は、失明の原因の第2位であり、糖尿病患者さんのQOLを大きく損なうものです。しかしここ10年間にその治療は、大きく進化してきています。硝子体手術療法、眼内抗VEGF抗体注射治療、汎網膜光凝固術など、最新の外来診療、手術(外来・入院)を行っています。2021年度の実績は、白内障手術403例、硝子体手術100例、硝子体注射403例、汎網膜光凝固術157例(2021年)でした。合併症を持った患者さん、血糖コントロール不良の患者さんでは、循環器内科、糖尿病内科と連携を取りながら、安全な手術治療を行っています。当センター開設後、当院での網膜症による両眼失明の患者さんは、現在までゼロです。

DM専門資格有スタッフ:
糖尿病看護認定看護師 1名、日本糖尿病療養指導士20名(看護師10名、管理栄養士4名、理学療法士2名、薬剤師4名)と鹿児島県地域糖尿病療養指導士5名、臨床心理士1名。チーム医療による療養指導、栄養指導、心理サポートを行っています。

全体イメージ図

糖尿病内科

糖尿病の専門施設として、糖尿病患者さんそれぞれに最も適した治療法を提案し、患者さん本人が、治療に取り組んでいけるようにサポートします。そのために、糖尿病専門医だけではなく、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の資格を持つ専門スタッフ(看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士)や糖尿病看護認定看護師、また臨床心理士といった多くの経験と実績を積んだコメディカルスタッフが、それぞれの専門性を生かし、チーム医療を行います。
また、糖尿病は高齢者の4~5人に一人罹患しているといわれており、昨今問題となっている高齢化においても糖尿病は避けては通れない病気です。当病院には地域包括ケア病棟があり、当センターでは、この病棟を利用して、高齢者糖尿病患者さんが在宅もしくは施設でも、なるべく負担なく糖尿病と付き合えるような方法を提案しています。

当科では、糖尿病診療ガイドライン2019と最新の知見を含め診療を行っています。

外来では・・・

当センター外来では、専門ナースがまず療養面談を行い、患者様とともに考え、その後に医師の診察が行われるスタイルを取ります。
初診や紹介の患者様は、数ヶ月間当センター外来で指導を受けるか、あるいは短期入院により、食事指導や療養指導、薬物調整を受けて頂き、その後はかかりつけ医の先生と当センターで連携を取りながら診ていきます。患者様は6ヶ月毎にセンターを受診し、食事や療養指導を受け、かかりつけ医の先生と専門施設の協力のもとで良い治療を継続することが出来ます。かかりつけ医がない場合、連携施設を当センターから逆紹介するか、慈愛会の糖尿病専門クリニック(七波クリニック、慈愛会クリニック)での定期通院になります。
また、インスリンポンプ持続注入療法(CSII)や、連続した血糖測定が可能とする持続血糖モニタリング(CGM・FGM)を使用し、より専門的に厳格な血糖コントロールも行っております。

病棟では・・・

血糖コントロール不良な患者さんに対しては、まず強化インスリン療法を行い、膵臓を休ませます。その後患者さんそれぞれにあった薬剤の調整を行います。
また、当科では外来では十分に指導できないため、下記教育入院を行っております。それぞれ患者さんの状況にあわせて選択でき、患者さん自ら実生活の中で無理なく継続できる方法を学び取っていただけるような内容となっています。
また、高齢者糖尿病患者さんに関しては、在宅や施設での生活に極力支障がないような治療法を模索するだけではなく、患者さんやその家族の負担が軽減できるように環境調整を行います。

患者様の教育入院メニュー

  • 12日間のコース(現在はCOVID-19感染対策のため、7日間に短縮)
  • 働き盛りの人のためのコース
  • 腎症合併のある方のための2泊3日腎保護コース

眼科

病院に通うことは精神的にも、時間的、体力的にも大変だと思います。
私たちは、そのような苦痛がわずかでも軽減できるよう努めています。
ここ十数年の眼科治療の進歩によって、今まで治すことのできなかった多くの病気が治せるようになっています。他の身体の病気と同じように、早期に発見して適切な治療をすることがとても大切です。糖尿病網膜症や緑内障などは、現在でも失明原因の一番に挙げられる難しい病気ですが、適切な時期にしっかりとした治療を受ければ、失明を防げる病気です。
残念ながら多くの患者様は、病気を十分に理解できていなかったり、誤った判断をしたりして、必要な時期に適切な治療を受けられず手遅れになっていることが少なくありません。診療に際しては、間違った理解で見えなくなってしまうようなことがないように、病気についてわかりやすく丁寧に説明し、十分理解していただけることをなにより大切にしています。
糖尿病や腎臓病、血液の病気など目に合併症を起こす患者様が多くいます。このような場合は、特殊な機械を用いた治療となります。
全身合併症のある患者様の治療にいち早く取り組み、治療実績を積み重ねております。また、専門の診療科との連携で総合的な治療を行っています。

当科では、下記学会・研究会等の診療ガイドラインに沿った診療を行っております。
・黄斑部毛細血管拡張症2型診療ガイドライン 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究」研究班
・緑内障診療ガイドライン 日本緑内障学会
・アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン 日本眼科アレルギー学会
・糖尿病網膜症診療ガイドライン 日本糖尿病眼学会
・眼局所用抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン 日本眼感染症学会
・ぶどう膜炎診療ガイドライン 日本眼炎症学会
・ドライアイ診療ガイドライン ドライアイ研究会

外来診療担当表

糖尿病内科

 
午前 鎌田
上久保
新中須
田川
鎌田
上久保
新中須
(第3週)
新中須
田川
鎌田
大重
新中須

眼科

 
午前 水島(崇)
水島(由)
水島(崇)
藤原
水島(由)
土居(隔週)
水島(崇)
藤原
水島(崇)
水島(由)
藤原
土居(第2週)
水島(崇)
(第1~3週)
第1週 加藤
第2当番医師
第3 鹿大医師
第4 当番医師
第5 当番医師
午後 水島(崇)
水島(由)
水島(崇)
水島(由)
藤原
土居(隔週)
水島(崇)
藤原
水島(崇)
水島(由)
藤原
(第1週を除く)

当科で治療を行っている主な疾患

糖尿病内科

初期の糖尿病の教育から、眼や腎臓、足壊疽、動脈硬化など合併症を持った重症の糖尿病まで、どのような糖尿病にも対応できます。

眼科

  • 糖尿病網膜症
  • 網膜剥離
  • 黄斑疾患(黄斑円孔、黄斑前膜)
  • 緑内障
  • 白内障など

主な治療方法

糖尿病内科

糖尿病には食事療法、運動療法、薬物療法などの治療方法があります。

  • 食事療法
    糖尿病治療では、食後血糖を上げない食べ方、肥らない食べ方、バランス良く食べる、の3つのポイントが重要になります。外来では管理栄養士からの定期的な栄養指導、看護師からの聞き取りなどを通して、食事療法を行っています。
  • 運動療法
    糖尿病の治療の基本であり、生活が便利になり私たちの日常での活動量が減っていくことが糖尿病の増加につながっていると考えられます。糖尿病だけでなく、肥満や生活習慣病、加齢に伴う生活機能の低下、認知症の予防に役立つと言われています。
  • 薬物療法
    1. 経口療法
      血糖コントロールに用いられる薬には大きく分けて5種類あり、その人の病態に応じ適したものを選択し治療を行います。上記でも挙げている食事療法や運動療法をきちんと継続することが薬の効果を最大限にし、かつ長続きさせるために重要です。
    2. インスリン療法
      1型糖尿病の場合は障害インスリン注射を続ける必要があり、2型糖尿病の方でも飲み薬が効かなくなったとき、コントロールの悪いとき、感染症にかかっているときはインスリン注射によるコントロールを必要とします。一時的に使用する場合とずっと続けなければならない場合があります。

眼科

  • 白内障手術(小切開超音波手術)
  • 硝子体手術
  • 増殖性硝子体網膜症手術
  • 黄斑下手術
  • 緑内障手術
  • 網膜光凝固手術
  • 網膜腹位術

診療科実績

糖尿病内科

項目 2021年度 2022年度 2023年度
入院患者数 537 534 548
平均在院日数 16.36 16.90 15.38
患者数 初診外来 623 849 854
入院 537 534 548
紹介施設 306 303 479
地域連携施設 入院 158 158 182
外来 148 145 297
金土コース(1泊2日) 22 28 17
腎保護コース(2泊3日) 20 36 36

眼科

項目 2021年 2022年 2023年
手術 緑内障関連手術 5 3 0
硝子体手術 100 110 79
水晶体再建術 403 481 551
テノン氏嚢内注射 47 26 24
硝子体内注射 403 502 472
汎網膜光凝固術 157 168 161
後発白内障切開 95 83 72
翼状片手術 8 5 6
外眼・角膜・涙道手術 33 23 6

担当医から患者様へ

糖尿病内科

糖尿病は治療しないで放置していると、やがて失明や血液透析、脳梗塞、心筋梗塞、足の切断にいたります。しかし、しっかりと治療する術を身につけることで、これらの合併症は回避することが可能です。糖尿病の治療は日常生活の中で、しかも生涯継続していく必要があります。そのためには、糖尿病にしっかりと向き合って、無理せずに続けていける自分に合った方法を見つけていくことが重要です。私どもの仕事はそれをサポートしていくことだと考えています。

眼科

目は、外からの情報の80%を得るといわれている大切な場所です。当院は、糖尿病をはじめとして全身合併症からくる重症の眼疾患の患者様がとても多い病院です。このような病気で見えづらくなる人が一人でも少なくなればという思いで働いています。 不安に思うことやお聞きになりたいことがあれば、遠慮なくお話しください。

担当医紹介

糖尿病内科

鎌田 哲郎

かまだ てつろう

名誉院長 兼 慈愛会糖尿病センター長

専門

医学博士
日本内科学会認定医
日本糖尿病学会認定医
日本糖尿病学会研修指導医
鹿児島大学医学部臨床教授
鹿児島大学医学部非常勤講師

新中須 敦

しんなかす あつし

糖尿病内科主任部長
地域連携室 室長

専門

医学博士
日本内科学会専門医
日本糖尿病学会専門医・指導医
内分泌学会専門医・指導医
プライマリーケア学会認定医・指導医
日本動脈硬化学会専門医

松下 敬亮

まつした けいすけ

専門

日本糖尿病学会専門医

仮屋 毅彦

かりや たけひこ

糖尿病内科医員

向井 舞

むかい まい

上久保 定一郎

かみくぼ ていいちろう

糖尿病内科部長(非常勤)

専門

日本内科学会認定医
日本糖尿病学会専門医

大重 聡彦

おおしげ としひこ

糖尿病内科部長(非常勤)

専門

日本内科学会認定医
日本糖尿病学会専門医

田川 理笑

たがわ りえ

糖尿病内科医員(非常勤)

専門

日本内科学会認定医
日本糖尿病学会専門医

糖尿病眼科

加藤 貴保子

かとう きほこ

眼科部長

土居 範仁

どい のりひと

眼科統括部長

専門

医学博士
日本眼科学会専門医
鹿児島大学医学部非常勤講師

水島 崇

みずしま たかし

眼科主任部長

専門

医学博士
日本眼科学会専門医

水島 由佳

みずしま ゆか

眼科部長

専門

医学博士
日本眼科学会専門医

藤原 悠子

ふじわら ゆうこ

眼科医長

専門

日本眼科学会専門医